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「…いや。俺様は人間に助けられて生きている。だから…嫌いじゃないさ。俺様にとって良い人間は意外と沢山いる。名前をくれた人間達だ。それと…俺様が好きな庭に居るガキだ。あいつも俺様を助けてくれるからな。
もちろん中には人間を毛嫌いしている奴や怖がって近寄らない奴もいる。でもほとんどのノラは人間様に生かされて生きているから嫌いにはなれないのさ」
(嫌いにはなれない…か)
「カズヒラ。お前は人間が嫌いか?」
(何だか変な感じだな…ネコからそんな質問をされるだなんて…)
「ううん。僕は…人間が好きだよ。嫌いな奴も中にはいるけど、人間が好きだ」
和平は笑う。
髭と耳をピンと立てて、しっぽを揺らして。
「そうか。でもあまり信用しすぎるなよ?付き合う人間の善し悪しはよく選んでから決めろ。さて、夜も更けてきた。今日は俺様のねぐらに案内してやるから来るといい」
ふてぶてしくて可愛げが無いと思っていたネコが今はとっても凛々しくて立派なネコに見える。
きっと人間に媚びずに生きてきた証があの姿だったのだと今なら思えた。
「ピース、カッコイイね」
「なんだぁ急に。おだてたって何にも出てきやしないぜ」
そう言ったピースのしっぽが嬉しそうに笑っていた。右へ、左へ軽快なリズムを刻みながら動いている。
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