2.三毛石 ラン

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2.三毛石 ラン

「へえ。ここが、空くんが通っている “学校” ってところかあ」    ミケランはあたりを見渡した。登校時間の構内は多くの人間たちでごった返していた。  そこかしこで、朝のあいさつの声が響き渡り、いわし雲がぷかぷかと浮かぶ澄み渡る青空へと吸い込まれていった。  校舎に辿り着いたミケランは、昇降口のガラス扉に映る自分の姿を、ネコ神さまの言葉を思い出しながらチェックしていた。 ―― ミケランよ。人間の姿を借りるからには、それっぽく見えるよう注意せねばならぬぞよ。まずは、姿勢じゃ。言わずもがにゃ、人間は二足歩行の生き物じゃ。背筋をピンと伸ばして顔をまっすぐ上げにゃさい。まあ、人間の中にも “猫背” なんて言われる者たちもたくさんおるが、それは、姿勢が悪い者を揶揄する言葉じゃからの。それと、人間たちと接している間は、決して気を抜くでないぞ! ちょっと気を抜けば、頭には猫耳、顔には髭、尻にはしっぽがピョンっと飛び出るからにょ。ゆめゆめ忘れるでにゃいぞ!  肩のあたりでくるりと内巻きになった栗色のボブヘア。紺のブレザーにグレーをベースにしたタータンチェックのプリーツスカートの制服もきちんと着こなしている。姿勢もばっちりだ。どこからどう見ても、今時の女子高生だ。  もうすぐ、空くんに会える!  ミケランの心に、わくわくとドキドキが交互に訪れ、緊張のあまり、思わず右耳がピョンっと飛び出した。
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