3.三毛石 ランのジェラシー

1/3
前へ
/10ページ
次へ

3.三毛石 ランのジェラシー

 ミケランが転校してきてから、一週間が過ぎた。空くんが言ったとおり、このクラスの人間たちは、とても気さくで優しくて、人見知りのミケランもクラスメイトたちに少しずつ馴染んでいった。良き人間たちと人間として同じ時を共有することはミケランにとっては新鮮でありがたいことだったけれども、頭の中は空くんのことでいっぱいで、お友達とおしゃべりしているときも、お昼ごはんを食べているときも、彼女のグリーンアイの端には、空くんの姿が映し出されていた。クラスの人気者の空くんのまわりには、いつもクラスメイトたちが集まっていて、なかなか、空くんとゆっくり話す機会がなかった。明るくて、いつも笑顔を絶やさない空くんを見て、ミケランは嬉しいと思う反面、とても悲しかった。 (あたちが虹の橋を渡って、まだ少ししか経ってないにょに……空くんは、あたちのことを忘れてしまったのかにゃ?)  特に、ミケランの心をひどく落ち込ませていたのは、“家猫(かねこ)ナナ” の存在だった。ナナちゃんは、空くんの幼馴染の女の子で、彼女のお家はミケランのお家 “猫目石” 家のお隣さんだ。だから、ミケランは、ナナちゃんのことを良く知っている。ナナちゃんはとても優しい女の子で、ミケランのことも可愛がってくれた大切な人間。大好きなナナちゃん……なのに、空くんとナナちゃんが仲良さそうにおしゃべりしている姿を見るたびに、ミケランの心は、ずきんずきん、と痛くなるのだった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加