2.Indwelling

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2.Indwelling

 自分の住んでいる集合住宅の一室に着いた隈川は、鍵が閉まっていることを何度も確認した上で、溜息をついた。暖房のついていない部屋は外同様に寒く、吐息は白い煙となって、暗い室内に拡散した。  彼は部屋の電気をつけて、暖房のスウィッチを入れて、マフラーを外しコートを脱いだ。すると、先程まで感じていた緊迫感の為の疲労を強く感じた。又、この疲労は外の凍えるような寒さの為でもあった。彼は熱いシャワーを浴びる事にした。  実際のところ、シャワーを浴びている時さえ彼の心はそぞろだった。警察は、どこかで俺が年代物のパソコンを買って【創作罪】の犯行に及ぼうとしている所を、おさえようとしているのではないか。そして、今にも俺の部屋に押し入り、俺を逮捕するのではないか。このような不安が彼の脳内に駆け巡り、彼の心持ちは決して穏やかではなかった。
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