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3.Consequence
隈川を起床させたのは、分刻みに設定しているアラームの五度目の音だった。昨日の夜半に飲んだカフェインが残っているせいか、彼は微かに頭痛を感じた。のみならず、口腔内にはうそくさい香料の匂いが残留しており、彼は顔を顰めた。
隈川はベッドから離れて、カーテンを開けた。空は曇り、朝日は弱々しかった。が、彼にとってはこのくらいが最適だった。強すぎる日光は、彼に眼痛と、それによって誘発される頭痛を増強させる。
隈川は寝起きで未だ論理的整合の取れない頭で、漫然とした思考を展開していた。今日は久々の休日ということもあり、彼はもう一度創作に励んでみようと考えた。彼は色々と考えを巡らせた。そして、昨日見た【共感映画】のことを思い出した。
生徒たちが織りなす青春の群像劇は圧巻で、実話であることが俄かに信じがたい程だった。しかし、配給される映画は、必ず政府の厳格な検閲を受けるので、フィクションどころか誇張さえあり得ないだろうと彼は考えた。
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