5.Repeat

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 当初は、【ムニン】の安全な仕様が確立されておらず、大量の記憶混濁者(ドランカー)が現れた。言わばそれは情報の酩酊であり、脳が正常に作動するには、情報を抜く必要があった。  当時はデリート機能が十分に確立されておらず、再起不能者の数は集計されることこそ無かったが相当なものであった。  従って、政府は【ムニン】の取り扱いに制限をかけた。一般に入手できるムニンの扱える容量(ビット)は制限され、記憶混濁者はほとんど居なくなった。また、簡易忘却装置の【レーテー】が開発されたことによって、情報に溺れる者は完全に居なくなった。  が、【レーテー】はその性質上、悪用される危険性が非常に高かったことから、政府はこれを公表しなかった。【ムニン】と【レーテー】の両方を同時に使えば、洗脳は勿論のこと、人間を記憶を自由に構築することさえ容易になってしまうからだ。
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