5.Repeat

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 また、この頃から情報の過食に対する反対運動が活発になった。真っ先に否定の矢尻を向けられたのが、フィクションだった。フィクションが真理を伝えるという過程には、無数の換言(パラフレーズ)隠喩(メタファ)が存在し、必要以上に情報が膨らんでいる、言わばデジタル癌として、様々な批難が浴びせられた。  まず最初に行われた規制が、民間人の創作行為を禁ずることだった。フィクションを創造するには、専門的な教育と試験に通過した者のみに発行される免許が必要となった。  そのため、多くの投稿サイトが閉鎖された。発行物は激減し、古典的作品のみが生き残った。それらは、フィクションでありながら情報価値が非常に高いものとされ、政府や高額納税者などの支援によって手厚く保護された。しかし実際には、開発された脳シェアリング機能を導入した【共感映画】の台頭により、多くの人々が消費したコンテンツは有象無象の現実風味の何かだった。
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