1.Regressio

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 その承認も、様々な査察を受けなければならず、国内でこの承認を受けた正規の取扱い店舗は一〇〇にも満たない。それに承認が降りるような、既に政府の傀儡と化した店舗で購入しようものなら必ず足がつくと彼は教わった。そこでこの店を紹介してもらったのだ。  表とも裏ともつかない入り口から建物に入る。通路の明かりは乏しく、非常案内看板の緑色の灯りが、弱々しく床を濡らすだけだった。打ちっぱなしの階段を登ること三階、ようやく(くだん)の店の入り口らしき扉の前に着いた。  扉は一見アパートメントの個室用そのものだった。それもとても古くさい。覗き穴と、郵便の受取口がついていて、ドアノブは衛生観念が未発達な頃に典型的だった、金属製の、回転しないと開かない取手が付いたとても古典的なもの。百年ほど前を舞台とした【共感映画】に出てきそうなほど古めかしい。
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