7.Undo

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7.Undo

 隈川が施設に入居して、だいぶ日の経った頃のことである。カンファレンス室の電子ボードにあるファイルが表示されていた。 ・レポート『経過観察の為の日記』・カンジャ(隈川勝重)(校正済) 第一回レポート 三月十日  僕は【校正施設】で療養を受けています。治療の一環として先生から、自分自身を考察して文章にしなさいと言われました。なんでも僕は、ひどい事件にあったらしく、それで精神に強いダメージを受けて、記憶障害になってしまった様です。 施設のスタッフの方々は皆優しくて、僕が一日でも早く社会に復帰できるように助けてくれます。僕もそれに答えて頑張りたいと思います。依然として、文章を書くことは苦痛を伴います。なんだか、悪いことをしてしまっている気がしてならないのです。
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