7.Undo

3/5
前へ
/47ページ
次へ
第三回レポート 三月十二日  前回のレポートを見た先生がとても褒めてくれました。校正師の方の先生も順調だといってくれました。快方に向かっているようで何よりです。  僕はこのことに深い感謝と喜びを感じています。記憶が失われるほどの精神的ショックを受けたにも関わらず、ここまで回復していただいた先生や施設のスタッフの方々には頭が上がりません。このことをお伝えしたところ、 「感謝の気持ちは、労働することで社会に還元すれば良い」 と、先生は仰いました。僕は先生の奉仕的精神に大変感動しました。僕も先生の様に立派な精神の宿主になりたいものです。  さて、僕の記憶のことですが、他にも思い出したことがあります。それは、僕には意中の人がいることです。彼女は警察官をしています。僕よりだいぶ若いのに仕事熱心です。彼女の笑顔はとても可愛らしく、僕はその笑顔を見ただけで、数日は労働への意欲も普段以上に漲ります。  残念なのは、いつ彼女と出会ったか思い出せないことです。とても肝心なことなので、これを思い出せれば良いのですが。恐らく、僕が働いている工事現場の近くをパトロールでもしていたのでしょう。考える限り、彼女との接点を持つ機会はその程度しか考えられません。  今度会った時彼女の名前を聞くことができればなと思います。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加