みゃあと鳴けばパン屋が儲かる

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 全猫に指示を出しきり、一息ついて辺りを見渡す。肥料を確保するために落ち葉を拾う猫、子猫を育てている母猫から少し分けてもらったミルクを水で薄めて量を増やす猫。パン作り欠かせない捏ね方や発酵のさせ方、丸め方を収穫に備えて復習する猫たち。重要な仕事を割り振られた猫は立派な顔をしたリーダーになってその場を仕切っていく。 「……俺は認めてないぞ」  テキパキと動くみんなを見て渋い顔のプン太。長老に咎められ、そしてこれだけ士気が上がっているみんなを見てしまえば邪魔などする気にもならないのだろう、ただじぃっと腕を組んでみんなを睨みつけている。それだけ。 「プン太さん」 「気安く呼ぶな。人間ごときが」  わ、なんかどっかでこのやり取りやったなぁ。 「これ、このパンって、焼き加減が重要なんですよ」 「だからなんだ」 「プン太さんのジャゲボ、初めて見たけどとっても良い焼き加減でした。釜で焼いてるんですか?」  釜、という言葉を聞いてプン太の耳が少しだけピクンと動く。 「ああ。ジャゲボは焼き加減が命だ。焦がしても生焼けでもいけねえ。きっちり火を通しつつパサパサにならないように、外側はこんがりってのが一番美味い」 「それも、パンと同じですね」  耳をまたピクピクと動かしたプン太は腕を組んだまま何かを考え込んだ。 「ふん……その、パンとやらの焼き方を俺に教えろ。この町のパンは全部俺が焼く」 「はい、よろこんで」
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