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現実的な夢想家
次の日の朝、二人はいつも通り庭で遊んだ。暑いので日陰を探すうちに奥に移動していたようで、気づけば泉水の前に出ていた。
それは庭の小径をしばらく行ったところにある。左右に青く茂る木々の、日に透ける葉脈を眺めながら行くと、ぱっと開けた場所に出て、見るとそこに丸い泉水がひっそりと佇んでいるのだ。岩に座る女の人の像が中央にある。
『涸れてるね』
相変わらず水はない。昔からこの泉水は朽ちている。
泉水の縁には小さなひび割れができ、そこから草が生えていた。
サラがふっと笑った。
『涸れてるよ。だってこれは約束なんだもの』
『どういう意味』
『泉水に水が甦る時は、海が目覚めて止まっていた時間が再び流れる時だから』
当然のことながら、ミルには意味が取れなかった。
多分どこかの童話で覚えた一節なのだろう。サラはロマンチックなところがあるから。ミルはそう思って自分を納得させると、微笑みをつくり彼女に合わせて言葉を返した。
『じゃあ『海はまだ眠ってる』んだね』
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