誠実と海獣

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誠実と海獣

人間誰だって泣きたい時くらいある。それは陰で機械人形(オートマタ)と渾名される自分にだって当てはまる事項だ。 夕暮れ時に彼女は職場近くの公園のキノコ型ベンチに座り込んで泣いていた。拭っても拭っても止められない。 職場―国際宇宙開発機構ではこんな顔は決して見せることなどできない。 今日スヴェンの所属する研究室にふらっと遊びに行った。長いこと自分のところにいると息がつまるから。 上からの期待とか、周りの視線とか、コントロールできない自分の研究とか。スヴェンとは同じ時期に入所したためか少し気易かった。
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