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織歌という名前の少年はにっこり笑った。
「ふうん、誠実ね。すごく不器用そうだけど、いい名前だね」
「馬鹿真面目、でいたっ、て、損する、だけ」
思わずシンシアは言い返していた。
いい名前だね、ともう一度織花は言った。
「日本という国の言葉に真摯っていうのがあってね。俺はその言葉結構好きなんだけど、君の名前の中にも同じ音が入っている。意味もまあ似てるよ。すごく君らしい。君の形に添っている。好きな響きだ」
一拍おいて、シンシアはみるみる顔に朱が差してくるのが分かった。泣いているせいでないのだけは確か。…辺りがすっかり暗くて良かった。
シンシアと織歌の散歩は、この日から始まった。
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