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彼は日々重くなる体を持て余し、朝目覚めるたびに安堵する。
けれど気づかないうちに感情が平たんになってゆくこと―これを自覚させるのはサラの悲しげな濡れた瞳なのだ―はやりきれなかった。
何かしようにもその動機を見出すのが億劫になってゆく。
ミルはあらゆるノートや紙の切れ端に思考を書きつけた。
今ここにいる自分が何に感動し、哀しみ、愛を注ぎ、憎み、惜しんでいるのか明日の自分には分からなくなっているかもしれないから。
すべて見透かしたようににっこり笑って、時々自分に無茶を言うサラをミルは半ば憎んだ。
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