第2話(後):体力テスト

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 ここは私立中学の購買店——『Bamboo(バンブー)』。  能力者が集いし学校で、この空間とあたしだけが知っている、生徒たちの秘密や思惑が積み重なっていく。 「大人しくするべきはあんたのほうよ、笠音!」  廊下でびしぃと指を突き立てた実咲が、 「この学校に『無能力者(ノーマリティ)』の居場所なんかないの。本当に転学する気がないのなら、せめてあたしとツバメの邪魔はしないでちょうだい!」  その言葉に、笠音は眉をひそめた。  邪魔なんかしているつもりはないと、その表情がすでに語っている。 「お前はともかく、なんで風切の話が出てくるんだ?」  笠音は不思議そうに、 「私はただ学級委員として、風切(あいつ)や他の生徒たちの問題行動を咎めているだけなのに……」 「うるっさい! 未来の『女王(クイーン)』に口答えするな! 『王子(プリンス)』の隣りの席は絶対に譲らないんだからあ!」 「風切と席が隣りなのは私だぞ?」  ——席順(そういう)オハナシではないと思うよ、笠音ちゃん?  あたしはあえて何もツッコまず、廊下で睨み合う姉妹にいつもの言葉を。 「毎度、ありがとうございました〜」  そして、購買の扉が閉ざされた今、あたしは心の中でのみエールを送りたい。  学校で出会った双子の姉妹、能力者と無能力者、切っても切り離せない永遠ライバルとなった二人に。  未来の『女王(クイーン)』の座、そして—— 『王子(プリンス)』の隣りを賭けた姉妹喧嘩が、ここに開幕!  とか、外野で勝手に盛り上がってみたり。 To be Continued...?
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