誇り高き猫として

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「腐ったぶりをディナーに食べたって伝えておく。これからは舌を毛づくろい用だけじゃなくて味覚用にもしておくことね」  味覚は敏感なほうなのだが昨日は急いでいた。宿題が山ほどあったからだ。しかもジェームスの苦手な数学。よっぽど成績がトップのシャーロットに電話かけようと思ったがやめた。分からない問題は父に聞いてみようと思ったからだ。ジェームスの父と母もアメリカンショートヘアだ。父は証券会社で働いている。数字には強いだろう。だが三角関数の問題を出した途端、父は渋い顔をした。グリーンの目の色が薄いブラウンに変わった。父は正直に打ち明けた。 「高校の時の数学はすっかり忘れちゃっているよ。中学でも怪しいものだ。手助けが欲しいなら家庭教師でも頼もうか? 俺が行っている会社の同僚の娘さんが家庭教師を始めたいんだそうだ。ペルシャ猫だよ」  ジェームスは毛の長い猫人に憧れがある。目がブルーだと猶更だ。小学生の頃、好きだった芸能猫人もペルシャ猫だった。即答でオーケーした。ただ彼女に欲しいタイプかと訊かれればちょっと違う。彼女は可愛い猫人がいい。
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