一言探偵の一言

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「えっと……、どちら様ですか?」  それまで怯えるように五識(ごしき)さんの背に隠れていた七瀬(ななせ)さんが恐る恐る訊ねる。見れば(はじめ)さん含めた他の全員も同じように首を傾げている。もちろん私もだ。 「ククク……。俺が本当の二舘(にかた)だよ。俺がアイツを……、兄さんを殺した犯人さ!」  刺殺(さしごろし)犯人(ぼんと)さん、もとい本物の二舘さん(しさつはんにん)は不敵な笑みを浮かべている。その顔は邪悪、というよりなんというか、その、殺されたお兄さん(偽二舘さん)とあまり似ていないというか、あまりカッコよくないというか……。 「本当に兄弟なんですか? 殺された偽二舘さんとはまったく似ても似つかないフェイスですけど……」 「フェイスって言うなあああ!」  一さんは疑いの眼差しと心無い暴言を無遠慮に投げつけた。それを刺殺(さしごろし)さん、もとい本物の二舘さんが全力で打ち返す。
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