一言探偵の一言

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「どうしてあなたは偽二舘さんと入れ替わりを? そして何故、偽二舘さんを手に掛けたんですか?」 「兄さんが悪いんだ! 兄さんは大した努力もしないくせにいつも俺から全てを奪っていった! このペンションだってそうさ。借金までして建てたこのペンションを兄さんは俺から奪ったんだ! 学生の頃に密かに憧れていた七瀬さんだって兄さんの見た目に騙されて弄ばれた! それにコミュ力お化けの兄さんは両親から財産全てを託された! 俺が両親から貰ったのはこのコートとハットだけだったのに! どうして同じ兄弟でここまで差がつくんだ! 許せないだろ! あんまりだろ!? ゴッド イズ デッドじゃないかあああ!」  二舘さんは天井を仰ぎ見ながら叫ぶ。これはあれだ。発想が私と同じだ。ゴッド イズ デッドって言っちゃてるし。もしかしたら私も闇落ちしていたらこうなってしまっていたんだろうか。そう考えると他人の気がしなかった。 「見た目だけじゃない!」  気づけば叫んでいた。 「見た目が悪かったからって何!? 二舘さんにだって、二舘さんにだって誰にも負けない誇れるものがあるはずでしょう!? 兄さんは全部持っている? 両親に差を付けられた? だから何? 誰かと自分を比べて卑下するなんて無意味だわ! 誰かと比べて勝ち負けに拘るくらいなら昨日の自分に勝ちながら進んでいけば良いでしょ! そうやって生きていくほうがよっぽどカッコイイじゃない!」
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