一言探偵の一言

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 三枝さんや四間さん、それに刺殺(さしごろし)犯人(ぼんと)さんはともかく、五識さんと七瀬さんはかなり怪しい。もしかすると、二人が結託して二舘さんを殺害した可能性だってあるかも知れない。すると、何故か五識さんはなおも一さんに詰め寄ろうとしている七瀬さんを背後から抑え込んだまま、三枝さんを睨む。 「三枝さん。あんたじゃないのか? あの男を殺したのは」  五識さんに名指しでそう告げられた三枝さんは目を丸くする。 「な、なんで僕がそんなことをしなくちゃいけないんですか!」 「とぼけるな! 俺は知ってるんだからな。お前はあいつに、二階堂に借金があっただろうが。大方今日もあいつに追加で無心しようとしてお前はこの島を訪れた。だがあいつはそれを断った。だから殺した! 違うか!?」  五識さんは激昂して三枝さんを罵る。というか裏生徒会長(三枝さん)は二舘さんに借金があったようだ。もっとちゃんとしてくださいよー裏生徒会長さんさー。しかし心の中で私が馬鹿にしていたからではないだろうけど、三枝さんの目の色が凶暴な光を宿す。三枝さんは五識さんに対して反撃に打って出る。 「そんなこと言ってるけどさー、あんただってあいつを殺す動機はあるだろうが! あんたはその女との関係が二舘にバレて、そのことを妻子にバラすと脅されていただろうが! だからバラされる前に二舘を殺した。そうだろうが。この不倫野郎が!」 「ちょ、ちょっと! 三和人さん! 落ち着くザマス!」 「離せごらあああぁ!」  五識さんに掴みかかろうとする三枝さんを一さんと四間さんの二人がかりで抑え込む。何故か四間さんは急に金持ち語尾になっていた。ひょっとして向こうからちょっとPTA会長のキャラに寄せてきてくれたんだろうか。それに引き換え、三枝さん。この人はダメだ。自分の言葉に酔ってついカッとなるタイプの人だ。これじゃあ裏生徒会長は務まらない。しかも近づいて分かったけどかなりお酒臭い! もしかしたら五識さんが言ったように、アルコールの入った三枝さんは本当に二舘さんに借金を断られてついカッとなって殺してしまったんじゃないだろうか。
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