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『小説』
「ねぇ、アルフレッド。僕は幸せ者だよ」
ソファに座りながら本を読んでいた僕は、目の前を横切ったアルフレッドに向かってそう言った。が、当の本人は眠そうに欠伸をしている。興味が無いといった様子だ。
けど僕は気にせず話を続けた。
「好きな映画、好きな音楽、好きな小説、好きな絵画。これらを見て、聞いて、読むことが出来る僕は幸せ者だね。ちなみに今、僕が読んでる小説は“夏目漱石”っていう人が書いた──────ん? 何その顔」
ふとアルフレッドの顔を見たら、何故か真顔だった。さっきまで呑気な顔をしてたのに。何でだ?
が、僕はこの顔を知っている。アルフレッドがこの顔をする時は“うるさい”という意味だ。これ以上話しを続けたら、パンチが飛んでくる。……仕方ない。この話はまたの機会にしよう。
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