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「まず、パワハラに耐えろ」
「え?」
「ギルドの奴ら、一部のベテランだったりごますりが上手い勇者以外にはどちゃくそ冷たい。難癖つけてまともな仕事を回さなかったり、すっげー嫌われる系の仕事ばっかり回してくる。それにキレずに耐えろ、キレたら最悪ギルド立ち入り禁止の強権を発動されるぞ」
「え」
「次に、セクハラに耐えろ」
「せ、せくはら?僕は男……」
「甘い。ギルドやら依頼主やらには結構男もイケる奴が多い!特にお前みたいにまだ若いベビーフェイス系の男は超絶に狙われる!笑顔で“や・ら・な・い・か”くらいは当たり前だ、ケツとか胸とか触られても我慢しろ」
「え」
「次に、アルハラに耐えろ」
「アルハラ……アルコールハラスメント?」
「そうだ。先のパワハラとセクハラとセットになっていることが多い。依頼主から直々にお酒の席に誘われる、誘いを断ると逆ギレされる。代わりに引き受けるとひたすらウザがらみされて、尻触られながらのお酌に耐えたり、俺の酒が飲めねえのかおらあ!をやられたりする。頑張れ、肝臓壊れても超頑張れ」
「え」
「あとはモラハラと王ハラとモンハラと魔ハラと武器ハラと宿ハラとドラハラと……」
「モラハラ以外全部わからないんですけど!?」
「“俺は王様なんだから全部言うこと聞けやごらあ!”ハラスメントや、“魔王様が不憫だからやめてさしあげろ”と泣きつかれまくるハラスメントのことだ。全部一つずつ解説した方がいいか?」
「い、いえ、イイデス……」
なんだろう。
想像していた、かっこよくて英雄チックな勇者像がガラガラと崩れていくのだが。
「それでも、本気で、勇者を卒業したいか?これら全部盛り込んだのが最終試験なんだが」
そして彼は、最後に爆弾を落としていった。
「ちなみに勇者の仕事は全力でおすすめできないしぶっちゃけ俺もやめたいと思ってるのにお前を弟子に取ったのは、スクールからの依頼料がすげえ美味しかったからだ!」
「最低じゃね!?」
これはひょっとして、師匠ハラスメントなんて呼ぶんだろうか。あるいは勇者ハラスメント?
心がぽっきり折れて、白目を剥いた僕だった。
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