星と死体の降る夜

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『+β』 夏休みも明け、山荘での事件から1ヶ月ほどたった昼下がりの神島家。 「それにしても久しぶりだね、(とおる)」 「なぁに言ってんだよ。この間連絡してきたくせに。急に言われてびっくりしたんだぞ。殺人犯たちがいるから応援頼むって」 神島家の真っ白なソファに向き合って座る男2人。 1人はしわくちゃの白いTシャツに短パン、とかなりラフな服装。 一方で、透と呼ばれたもう1人の中年男性は、スーツ姿だ。 「あぁ、あのときは助かったな。隆司だってまだ子供。目先の謎に集中しすぎてしまうことは十分にありえたからな。 まぁそれでもだいぶ成長してたみたいだが」 そういって足を組み替える男性。 「で、今日僕の家に来た目的を教えてくれるかい?まさか、わざわざ幼馴染に会いに来ただけ、なんてことはないだろう?」 スーツ姿の男性が後頭部をかきながら答える。 「まぁそれでも別にいいじゃないか。とはいえ、確かにお前の言う通り、そんなんじゃないんだけどな」 そう言うと彼は内ポケットから写真を1枚取り出した。 「コイツはうちの『知能的難事件捜査課』のやつが取った写真なんだが...」 もう1人の男性は写真を受け取るとじっくりと眺めた。 「この男って...」 「あぁ、間違いないこれが今のPCOJボスだろう。とはいえここで深追いしてバレてたら元も子もないからとりあえず写真だけ取ったらしいがな」 「おそらくそれが正解だな。ヤツも父親と同様頭が切れるだろうし」 そう言うと彼はコーヒーをすすって呟いた。 「それにしてもあれからもう3年以上断つのか...」 「あぁそうだな。とはいえあれ以来目立った進歩はない。それに、あのとき何者かから送られてきた手がかり。あれが全て正しいかも疑問だからな。誰がなんのために、あんなふざけた名を...」 「いやぁすまない。そろそろ隆司が帰ってくる時間でな」 男が壁にかかった時計をみて、話を遮る。 「そうだったな。じゃあな。また来るよ」 そういってスーツの男性は神島家を出ていった。
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