フレンチデート??

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フレンチデート??

早瀬さん家で猫のチロちゃん見せてもらっておまけに手料理迄振る舞えてこれでやっと高嶺さんと同じスタートラインに立てたという満足感でいっぱいだった。いや今は私の方がちょっとリードしてるかも。早瀬さんの部屋言ってた通り余り片付いて無かったけど私にとっては部屋に上げてもらえただけでかなり嬉しかった。早瀬さんだって一人の成人女性を上げるだなんて相当意識はしたはずだもの。私の事少しは恋愛対象として見てくれてると良いのだけど。 ん?電話…菊田さんからだ。 「はい、もしもし。さっきはどうも。」 「って事は帰って来たんですね。」 「帰りたく無かったですけどね。」 「はは。そうですね。」 「それより今日は菊田さんに感謝しないと。」 「召し上がりましたか?差し入れ。」 「頂きましたよ。デザートに。高級フルーツ美味しかった~。ご馳走様でした。」 「それは良かった。」 「でもそれよりももっと感謝申し上げないといけない事がありましたね。あぁ…菊田さんの言ってた事ってこういう事だったんだ~って直ぐに分かりましたよ。早瀬さんには効果てきめんだったと思います。なんせ高嶺さんを前に自分が他の女性と二人きりで部屋に居るとこなんて見られたくは無いはずですもんね。」 「我ながら差し入れは良い作戦だったなと思います。」 「うふふ。これからも頼りにしてますよ菊田さん。」 「こちらこそ。あぁ…そうでした。岩永さんに一つ言わないといけない事が。」 「何でしょう。」 「優弥が雅お嬢様をフレンチに連れて行く約束ですが。」 「あ~忘れてた。それがあったんだった。」 「優弥は料理一筋でベテランと迄はいかないですがこれ迄に色んなホテルを渡り歩き十分にキャリアはあります。そんな彼から与えてもらえる知識は雅お嬢様にとって将来の為になると考えました。それなのでこの約束に関しては以上の私の思いもあり今回は二人で行かせてみようかと思っています。私の私情を挟み申し訳無いのですが…。」 「…そうですか。しょうが無いですね。そんな風に高嶺さんの為を思ってあげるのもボディーガードの仕事の一つなんだと思う事にします。どうやら高嶺家のボディーガードは特殊みたいですからね。早瀬さんから聞きました。」 「ありがとうございます。」 「あ~あ。さっき迄優越感たっぷりだったんだけどな。菊田さん今度はもっと効果的なの計画しといて下さいよ。」 「分かってますよ。岩永さん。」 「じゃあお休みなさい。」 「はい。失礼致します。」 上機嫌だったのも束の間また直ぐに高嶺さんが私を阻もうとしていたのだった。 二週間後のある日。 私と早瀬さんは休みが重なり約束だったフレンチレストランへと向かっていた。早瀬さんは車が無いのでタクシーを呼んでくれてアパートから二人で乗り込みお店に行く事にした。礼二の車があるからと早瀬さんに促してみても良かったけど私が提案する前に既にタクシーを手配済みだった為言わず終いになってしまった。だけど礼二は礼二で勿論私達を離れて見ているのには変わりない。でもタクシーの移動中後ろを何回か振り返ってみたけれど礼二の車は捉える事は出来なかった。 「到着。そこの白い建物なんだ。」 タクシーから下りるなり早瀬さんはクイクイッと親指でその建物を指差した。 木造家屋に壁は白いペンキが塗られていて出入り口の深い緑の扉と赤い縁取りの窓が印象的だった。 「可愛いらしいお店ですね。なんだかケーキ屋さん見たいな。」 「そうだね。どちらかと言われるとスイーツ屋さんの雰囲気出てるよね。」 扉を開けるとカランとベルが鳴り中に居た半袖Tシャツにエプロン姿の男性の店員さんがくるっとこちらに振り返りニコニコしながら近寄って来た。 「こんにちは。早瀬さん。」 「こんにちは。」 知り合いなのかな?そうか。たまに来てるって言ってたしな。 「今日はお二人なんですね。」 「はい。」 「可愛い方ですね。」 私の事? 「そうなんですよ。高嶺さん良かったね。」 「そんな…あ、ありがとうございます。」 「お席にご案内しますね。」 ホテルのフレンチとは違い格好も接客もラフな感じの店員さんが私達を窓際の席へと案内してくれた。
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