フレンチデート??

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バタン。 車の扉が閉まる音が聞こえて振り向くとムスッとした顔付きの礼二がこちらへ向かって歩いてきた。そう言えば行きも車は見あたらなかったし礼二は何処で何をしていたんだろう。まさか礼二なりに気をつかって本当に二人きりにしてくれたのかな?私はさり気なく聞いてみた。 「礼二お疲れ様。私も払うつもりでいたのに結局早瀬さんにご馳走になっちゃった。だけど美味しかったな~。可愛らしいお店だったし。礼二もそう思わなかった?」 「あ?あぁ。お前が好きそうな外観だったな。食って無いから味は美味いもへったくりも無いがな。」   来てはいたんだ。 「今日はお店の中には入らなかったんだね。」 「信頼出来る優弥だしな。今日は駐車場に待機してた。」 そう言う事か。 「だよね。優弥さんだもんね。」 「それより長かったな何時もの食事会より。一体何をそんなに話し込んでたんだ?料理の事だけじゃねぇだろ。」 礼二の問いかけに早瀬さんから告白を受けたと言うべきか迷う。けど断った理由がまさか礼二が原因だなんて予想もしてないんだろうな。早瀬さんから告白された事を打ち明けて万が一礼二に根掘り葉掘り聞かれでもしたら嘘が下手な私は鋭い礼二を前にきっと気持ちを隠せない。 「え、う…ん。」 早瀬さんの家へ目をチラリと動かしそんな事を思いながら返事をした。 「…。」 「早く家入ろ。お風呂入って寝ないと。」 私はそう言うと礼二に背中を向け階段の方へと歩き出した。 「ひゃっ、、」 突然腕を引っ張られ壁に追いやられる。 「お前様子がおかしいな。」 背中と掴まれた腕にヒンヤリとした固い壁の感触が伝わる。 「そんな事、、無いよっ。」 するともう片方の腕も壁に押しつけられてふと気付けば礼二の長い前髪が私の顔に触れていた。 「優弥となんかあったな。」 切れ長の鋭い目が私を支配するかの様に見てくると力が抜けていく。 「無い…よ。」 私は絞り出す様に呟くと今度は唇目がけて自分の唇をギリギリ迄近付けてくる。 「言わない気だな。分かった。じゃあしょうが無い。」 ガバッと勢い良く抱き締められた私は礼二のその力に少しの抵抗も出来ない。 「え、ちょっと、、」 「このままこうしてても構わないんだ俺は。優弥が壁一枚隔てた向こう側に居るここで。」 ツウッと首筋を舐められると思わず声が出そうになりゾクゾクッと体が反応し熱くなった。けどこんな場所で抱き合ってなんかいられない。優弥さんがいつ出てきてもおかしくないこんな場所で。礼二は何を考えてるんだか。 「離して…離して礼二。」 顔が鎖骨に下りていく。 「っ、わ、分かった。言うから離して。」   そう言うとゆっくりと私から体を離した。そして私達は部屋に戻って礼二に早瀬さんから告白を受けた事を正直に話した。 「…で、お前の返事は?」 「えっ?」 「だからお前は何て言ったんだよ優弥に。」 「あぁ、そうか…あれ、何て言ったかな。」 あの時早瀬さんが一方的に私に問いかけてきてこちらが導かれる感じで返事をしたからこれだっていう決定的な言葉は言っていない気がする。 「は?覚えて無い訳無いだろ?」 「うん。あの、だから勿論付き合わないよ。早瀬さんは恋愛対象では無かったしそれに岩永さんが居るし。」 「なんかはっきりしねぇ言い方だな。余計に気になるじゃねぇか。隠さないで言えよ。」 礼二が私に迫り上から私を見下してくる。そんな高圧的な礼二に腹が立ってきて自分でも何でそれが反発手段になると思ったのか理解出来ないまま気付けば口だけが先行していた。 「礼二が好きだって言っちゃったのよっ!」  
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