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「受け取らない。」
「は?何でだよ。」
「何でもよ。だって…だって礼二は私のボディーガードで身の回りのお世話係も兼ねてるんだし何時もみたいに鍵開けてくれないと嫌よ。」
幼稚なわがままと分かっていてもでもそうまでして私は礼二を引き留めたかった。
「はぁ~。これだからお嬢様育ちは。ほらよ。」
ガチャガチャと仕方なしに鍵を開けると扉を開き鞄を玄関先に置く。
「あぁ…そうだ。とりあえず今布団と着替えだけ運ばせてくれ。後は明日一人で運んでおくから。」
礼二はそう言うとさっさと部屋に上がり着替えを布団にのせると両手に抱き上げて自分の部屋に帰って行った。
ベッドの横にあった礼二の布団が無くなり広さを増した私の部屋。最初は同居なんて信じられないなんて思っていたけど今はポッカリ心に穴が空きそれは私にとってそう簡単に埋められる物では決して無くて。自分でもこの虚しさを…寂しさをどうしたら良いのか全然分からなくて。私は靴も脱がず玄関から礼二の居なくなった部屋をただ見つめていた。キュッと下唇を噛みわき上がる感情を堪える…けど。
「洗面用具忘れた。」
ガチャリと扉が開き私の横を通り過ぎてお風呂場に向かい洗面用具を抱えて出てくる礼二。
「じゃあな。」
バタン。
「じゃあな。」だって…。
そんな風に私に言わないでよ。何気ない一言も今は貴方に言われたら私はとても辛いのに。
もう一度。私は礼二にぶつかってみよう。今度は反抗なんかじゃ無くて私が礼二を好きだというそれだけを胸に。
「礼二っ!」
私は乱暴にドアノブを捻ると扉を開け自分の部屋に入ろうとしていた礼二の背中にしがみ付いた。
「なっ、どうしたっ!?」
「…っ。」
「おい。雅?」
「…。」
礼二はそう言っただけでその後は何も話し掛けず時間だけが過ぎていく。すると礼二の手がシャツを掴む私の手を解き二人は向き合う。涙でいっぱいの私のユラユラした目からは礼二が怒っているのか笑っているのか見分けがつかなかった。一粒だって流してしまったらきっと止まらなくなりそうだった私は必死で何とか耐えているとその時、ドサッと音がして気付いた頃にはもう私の唇が礼二に捕まっていた。
「っ、、はぁ…。」
礼二は私を抱えながら部屋に上げるとさっき運んだ布団を片手でサッと広げ私達はそこに雪崩込んだ。額や目元、頬や唇に何度も唇を落としていく。首筋を鎖骨に向かいツウッと舐められると体中がゾクゾクッと震えた。下から少し乱暴にシャツをたくし上げる礼二の顔を見れば何時もの余裕など無くなっていた。そしてその顔にドキッとしたのも束の間。今度は下着も剥がされ二つの膨らみが礼二の長い指に捕まり先端を口に含むと思わず声が漏れ始める。
「ふっ…っ、、」
前に触れられた時よりも何処か違う礼二の雰囲気に戸惑いながらも私はしっかりと礼二を受け入れていく。頭の中では礼二が私をどう思っているのかは彷徨っているままだけどでもこうして私に触れてくれる事が嬉しくて女の幸せを実感していた。
「…んっ。」
礼二の手が下半身の溝にスルリと入り優しく愛でると蜜が溢れ私の体もそれに応える。だけどさっきから何も話さない礼二が私を変に不安にさせていた。
「礼…二?」
快楽の中絞り出した声で礼二を呼ぶ。
「…。」
「礼二…んっ、、」
もう一度。
「好きだ。」
すると手が止まり突然ギュッと力強く抱き締められた。
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