私は、俺は…。

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私は、俺は…。

カーテンも無いガランとした礼二の部屋からは月明かりだけが差し込み横になった二人を柔らかく照らしていた。私は腕枕をされながら礼二に背中を向けている。もう片方の手が私の髪の毛を滑っていくのが心地良くて目がトロンとしてきてしまう。静でとても穏やかな時間。こんな風に感じたのは私の中できっと初めて。言葉なんか無くたって十分だと思えた。寧ろ何も話さない位の方が礼二を感じられる気がしていた。 ふと私の髪を撫でる手が止まる。 「お前が見合いするって言ってから今日迄俺がどんだけの思いでいたか分かるか?」 礼二が子供みたいなすねた口調で私に言う。 「あ…あのね礼二。あのお見合いは両親の為のお見合いだったのよ。波多野さんと結婚したかった訳じゃ無いの。」 私は頭にある礼二の手に触れながらそう答えた。 「まぁ何となくそうじゃねぇかとは思ってたけどな。でもそんな過去の話今更もうどうでも良い…。」 礼二の筋肉質の腕が私を包む。 「この現実には何ら変わりは無いからな。」 「うん。」 「泰幸の時も波多野の時もお前は俺の直ぐ側に居るのに俺は指をくわえて見守る事しか出来なかった。でも。もうそんな我慢なんてしない。俺は俺に素直になるって決めた。だから…。」 すると礼二は私の上に覆い被さるとさっきよりも深く長い口付けをして肌という肌に何度も唇を落としていく。その一つ一つの行為に私の体は喜びを増し礼二に握られた手にギュッと力が入る。 「この白い肌にこの手で触れたいと思えば思う程お前を煽ったり…。」 「はっ…はぁ…。」 礼二の顔が少しずつ下に下がり私の熱くなった秘部を優しく愛でる。 「あ…んっ、、」 「そんな甘い声を出すお前を時に想像しなくも無かった…。」 「あぁ…ふぅっ。」 そして礼二の顔が私の目の前に現れる。 「あれこれ細かい事考えるのは止めた。雅はもう俺のもんだから。」 「礼二…。私の事何時からそんな風に見てたの?」 「何年も前から。お前は全く気付いて無かったけどな。」 「そ、そんな前から。」 「その何年分の想いをこうして体に刻みつけたい。何度愛したって足りねぇよ。」 「私は礼二が好き。」 「俺は…それよりももっと。」 ふっと笑う礼二の素直な言葉が私の胸に響いてくる。 私だって礼二しか見えないしこの先礼二が側に居ない人生なんて考えられない。 そうして私達は時間の許す限り肌を重ね合った。 ボディーガードとの恋はとても刺激的でこれ以上無い程の愛に変わったのだった。
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