デートなのに

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テーマパークの入り口には豪華な花々やバルーンが所々に飾られキャラクターが私達をお出迎えしてくれた。列に並び受け付けを待っていると前に並ぶ人達がパシャリと笑顔で写真を撮られていく。 「俺写真写り悪いんだよなぁ。だからそのつもりでな高嶺。」 「そんなの気にしないってば~。ていうか男性もそういうの気にするんだね。意外。」 「気にするタイプ。俺。はは。」 「次の方どうぞ~。」 呼ばれてカメラの前に立つ2人。 「もう少しくっつけますか~?」 私は俯き照れながら泰幸君の側に一歩近寄った。すると泰幸君の方もこちらに一歩近寄ってきたので恋人の様な距離感にふと見上げた泰幸君の顔も赤くなっていた。 写真はその場で直ぐに渡して貰えて汚さない様に丁寧にチケットの間に挟み鞄にしまった。形として泰幸君との思い出が残せた私は満足気な顔で園内を歩き出した。その時。 「あれ…?」 泰幸君が少し遠くを見て一言そう呟いた。 「どうかした?泰幸君。」 こちらをじ~っと見ながら。 「高嶺ってさ。そう言えば前にスーツの背の高い人に護衛されてたよな。」 「あぁ、うん。そうだね。」 「今さ、向こうにそんな様な人がチラッと見えたと思ったんだけど気のせ、、」 話を遮るみたいにキャラクターの着ぐるみが私と泰幸君に絡んできた。 「えっ!?…あ、可愛い~!キャ~フワフワしてて気持ち良いよ泰幸君っ!」 私は礼二が泰幸君に見つかってしまったと瞬時に察知しタイミング良く絡んできてくれた着ぐるみに心の中で感謝した。高校生の頃も礼二は今と変わらず私を護り続けていて仲良しグループには顔が割れていたので当然泰幸君も覚えているに違いなかった。だから余計にやり辛く出てきて欲しく無いのだ。 「えっ?あぁ…あはは。本当だフワフワしてるな。」 「ねっ、触り心地良いでしょ?そうだ!写真お願いしようよ泰幸君。」 「そうだな。」 泰幸君の意識を写真に集中させさっき見た事を無かった事にしたい私は間髪入れずに次から次へと泰幸君に話し掛けていく。そして写真を撮り終わると私はパーク内の地図を広げ出し目に付いた物全てを指差して泰幸君をこの場から遠ざけようと必死になった。 「ジェットコースターと、あと歩くタイプのお化け屋敷に、あとあと3Dアトラクションもあるよ!とりあえず中の方迄行ってみようよ!」 「あっ、俺お化け屋敷興味ある。」 「賛成!」 賛成なんて言っちゃったけど怖いの苦手なんだよね。でも今更言えないしとにかくこの場から離れられさえすれば良いから良しとしよう。 そんなこんなで私達が最初に向かったのは歩くタイプのお化け屋敷。だけど建物からして既に怖そうで足が竦む。入り口の看板には迷路型お化け屋敷と書いてあった。説明によると中は迷路になっており渡されるペンライトで出口を探しながら進んで行くとの内容だった。 「泰幸君。私、その…怖くて出口探すどころじゃ無くなると思う。」 「あはは。俺まぁまぁ大丈夫な方だけど頼りにならなかったらごめん。今から言っとく。」 「そうなのぉ~っ!?」 「高嶺の後ろで裾引っ張りながら半べそかいてるかも。」 「えっ…泰幸君それはちょっと…。」 ──────。   
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