デートなのに

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あんなに堂々と姿を見せて私の言った事全然守ってくれてないじゃない。しかも泰幸君と話したなんて私の事面白おかしく言ってるに決まってる。泰幸君との楽しいデートのはずがなんか、なんか腹立ってきた。一発ガツンと言わないと礼二には分からないんだわ。 「ちょっと礼二っ!来て。」 私は向こうで煙草をふかしている礼二を呼びつける。すると煙草を消してかったるそうに歩いてきた。 「何でございましょう。雅お嬢様。」 またその喋り方っ。 「今日の注意事項忘れないで。」 「注意事項ですか?」 「そうよっ!前から何回言わせるのよっ。」 「あぁ…あの事ですね。」 「覚えてるくせにわざと邪魔してきてどういうつもりよ。」 「私はただお嬢様をお護りしているだけですが。それが何か?」 「あのさ。私はこんな風にあんたに出て来て欲しく無…はっ、泰幸君ごめんね。これ何時もの事なの。もう気が済んだから次はえっと…あ、観覧車!あれ乗ろうよ!」 私が礼二と何時もの様に言い争ってる所なんか泰幸君に見て欲しくなくて空気を変えて礼二との喧嘩は一旦止めにした。泰幸君の腕をグイグイと掴み観覧車の方へと促しながら歩く。 「気分悪くしちゃったよね?ごめんね。」 「いや、大丈夫だけど…高嶺が心配。」 「え?私?」 「あの人に何処へ行くにも見張られてる訳だよな。」 「うん。見張られてというか護衛かな。」 「どっちも同じ事だろ?プライベートも無い生活に高嶺はストレス溜まらない?」 「ストレスか…。そんな言葉なんか通り越して今じゃなんか礼二は口うるさい兄貴みたいな存在になっちゃってるよ。はは。」 「兄貴…ねぇ。」 不意に落ちない表情を浮かべたまま泰幸君と私は観覧車に乗り始めた。 観覧車の中は陽射しが照りつけカーテンも無いのでとても暑かった。礼二が登場してきてさっきお化け屋敷で気分が悪くなった状態だったのを今更また実感していた。暑さで気持ち悪さが増していく。 「高嶺顔色悪くなってる。もしかしてまだ気分悪かったのか?」 「あっ、うん、大丈夫だよ。今てっぺんだしあと半周だもんね。」 「下りたらまたベンチで休憩しよう。」 泰幸君は私を優先してくれて本当に優しい人だと思っていた。きっとこんなに人を思い遣れるのは泰幸君だからであってこういう男性とずっと一緒に居られたら幸せなんだろうなと泰幸君を見ながら将来の事を少し想像なんかしてしまった私だった。だけどお茶を飲んでも泰幸君にマップで扇いでもらっても気分は良くはならずに逆に冷や汗が額をじわりと湿らせていくのが分かった。 早く下に下りたい…。 私達を乗せた観覧車はやっと地上に戻り泰幸君に支えられ私はベンチに腰掛けた。その頃には既にペットボトルのお茶は空になっていて泰幸君は急いでまた新しい飲み物を買いに行ってくれた。ベンチに腰掛けられたのはいいが冷や汗は止まらず動悸が激しくなり呼吸も何だか苦しい。すると目の前が暗くなっていき私はベンチに横たわる。 ────────。
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