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「おい。起きろ。」
ん…。
「口開けろ。」
っ、甘い…はっ!
私は意識がはっきりするとガバッと起き上がり隣に座る礼二が目に入った。周りを見渡し泰幸君を探すけど姿は見えない。
「泰幸君なら多分近くに自販機無くて探しに行ってるぞ。」
「そ、そうなんだ。でも何で飴?」
「俺なりの応急措置だ。」
「応急措置って?」
「お前やり過ぎたんだよダイエット。」
「あぁ…。」
「幾ら痩せて綺麗になった姿を見せたいからって自分の限界も把握出来ないんじゃまだまだだな。だからこんな風にぶっ倒れるんだろうが。」
「だって今日のデート私にとって特別で、だから完璧な仕上がりで望みたかったの。」
「これが完璧か?体調悪くなって途中で泰幸君にも心配かけて。誰が見ても不完全だな。」
「不完全って酷いよ。お肌のケアや洋服1つ選ぶのだって沢山時間費やしたんだからね。」
「そういうやってましたアピールは自ら口にしない方が良いぞ。ダセぇ。」
「っ!」
礼二は私の気持ちなんてちっとも理解しようとしてくれない。私のボディーガードなんだから護るついでで良いから「うん。そうだね。頑張ったね。」とか嘘でも言ってくれたって良いじゃない。しかも今日だって私との約束破って表に出てくるわ私の居ない所で泰幸君と話はするしそれに、それに私に少しだって同情してくれないし…。
「…ら…ぁい。」
「あ?」
「…いらない。」
「あぁ、飴か?じゃあ紙にでも包んで捨てて、、」
「私に礼二はいらないっっ!」
怒りに任せて大声でそう言い放っていた。
「高嶺!遅くなってごめん。自販機近くに無くてさずっと先の方迄買いに行ってたんだ。あれ?もしかして貴方も心配して…。」
「そんなとこです。」
「さっさと居なくなってよ。邪魔もしないでっ。」
私は俯き涙を詰まらせた声で礼二にそう言った。礼二は何も言わずに背中を向け私達から離れようとしたその時、そんな様子を見た泰幸君が私の気持ちをまるで察したかの様にこう礼二に言った。
「あのっ!もう高嶺も成人して大人です。貴方が高嶺の妨げになっている事分からないんですか?貴方が高嶺の近くでいつまでも居られたんじゃ高嶺自身が自立出来ないままですよ。それでも貴方は良いんですか?」
歩き出した礼二は泰幸君の言葉を背中で受け止めると一瞬ピタリと足を止めたがまた直ぐに歩き出した。
「ちょっと聞いてますかっ!?」
泰幸君が無視する礼二の腕を後ろから掴みかかろうとした。
「止めて、泰幸君っ!?」
ベンチから勢い良く立ち上がり礼二に掴みかかろうとしていた泰幸君を一歩手前で止めた。けど…。
グラァ~。
「高嶺っ!」
「おい、高嶺っ!」
泰幸君が遠くで私を呼んでいるのが聞こえた気がした。
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