2人の関係

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また出掛けてる…。 一昨日の朝も私が下りて来たら居なかったし今日も礼二の姿は無くダイニングテーブルの上には書き置きが1枚前と同じ文面であった。この間は私が家を出る少し前に帰って来て何処に行ってたの?って聞いても「ただの用足しだ。」だけで詳しく教えてはくれなかった。きっとまた同じ質問をしてもそうはぐらかされてしまうんだ。 私は自分の分の朝食を用意しテレビを見ながら食べ、顔を洗い着替えて支度を進めていると下でガチャリと玄関扉の開く音が聞こえた。私は部屋を出て階段の上から玄関を見下ろすと大きめの茶封筒を脇に抱えた礼二が靴を脱いでいる所だった。 「礼二。おかえり。」 「あぁ。」 「また出掛けてたんだ。」 「まぁ。」 「…もう少しで支度出来るから待ってて。」 「コーヒー飲んでるぞ。」 「うん。」 案の定素っ気ない態度にしっくりとこない私がいた。 ───────。 「すみません。注文お願いします。」 「はい。あっ、泰幸君!?」 「仕事で近く通ったから遅めのランチ食べようかと思ってさ。初めて来たけど内装も凄い豪華でびっくりした。」 「そ、そんな事ないよ…。」 泰幸君の突然の来店に驚きが隠せず嬉しくて顔もニヤけてしまう。それに…。 「スーツだね。なんか新鮮。」 スーツ姿が格好良くて眩しい。 「そうだよな。この間は私服だったしな。」 「この間といえば体調悪くなって早々と帰宅する事になって本当にごめ、、」 「もう謝るの止めようぜ。今日はさ高嶺の顔色見に来たっていうのもある訳で…うん。大丈夫そうだな。いつもの高嶺だ。」 「泰幸君…うん。すっかり元気に働いてるよ。」 泰幸君は私の姿を見回しながら。 「高嶺の方こそ新鮮だな。お店の制服良く似合ってる。」 「えっ、ありがとう。照れる。はは。」 「じゃあ早速だけど注文しようかな。これなんだけどお勧めって書いてある。フカヒレラーメン。1つお願いします。」 「はい。かしこまりました。」 ────────。 ん? あの人高嶺のボディーガードの…あぁそうか高嶺が働いてるから護衛だよな。 「小百合。」 小百合? 「あぁ。礼二お待たせ。」 お互い下の名前で呼び合う仲なのか。 「ごめんな。ここまで来てもらっちゃって。おばさん大丈夫か?」 「うん。今ヘルパーさん来てくれてるから平気よ。」 「そうか。分かった。じゃあ入ろうか。」 俺は2人が仲良くホテルの喫茶店へと入って行くのを横目で見ながらレストランへと足を運んだ。
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