2人の関係

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「雅~。」 土曜日。私は仕事を休めたのでその日に菜々子と会う約束をした。レストランだしなかなか土日の休みは取り辛いけど堺さんとか時には他のスタッフさんと代わり番こして上手く回している。 翌日菜々子のスマホに住所を送ってあげて約束の時間よりも早めに菜々子は家に着いた。 「いらっしゃ~い。迷わず来られた?」 「うん。大丈夫だった!ていうか、やっぱ立派なお家だね。雅の家は。」 吹き抜けになっている玄関を見上げながら菜々子は言う。 「そんな事無いから。あぁ、上がって上がって。」 私は2階へ菜々子を連れて行こうとした時横からスリッパを持った礼二が菜々子の前にスッと現れ差し出した。 「足冷たいのでどうぞ。」 「あっ…ありがとうございます。」 「ごゆっくり。では。」 「は、はいっ…ポッ。」 見ると菜々子の顔が赤く染め上がっている。 「ねぇ雅。あの人ってさ確か高校の頃から居るボディーガードだよね?」 「そうだけど。」 「あんなイケメンだったっけ!?」 「イケメンって…まぁそうね世間一般からしたら。」 「刺さっちゃったかも。私。」 「えっ!?」 「ドキドキしてる。」 「止めといた方が良いかもよっ!」 「ボディーガードなんて自分の体を盾にして雇い主を守り抜く訳でしょ?格好良いじゃない。素敵…。」 まるで礼二の歩いて行った残像を追い掛けるかの様にしながらトロッとした目で言う菜々子。 「菜々子~。戻っておいで~。」 礼二になんかドキドキしないでよ。礼二のあの捻くれた本性知ったら絶対直ぐに冷めて終わりだよ。顔だけだよ…と心の中で菜々子に何度も説得していた。 2階に上がり部屋に案内すると間もなくして礼二が紅茶とロールケーキをトレーにのせて運んで来た。紅茶とロールケーキのお皿を配りながら礼二が菜々子に話し掛ける。 「菜々子ちゃん。いつも雅と仲良くしてくれてありがとうございます。まだまだ子供でオマケに生意気な雅をこれからもよろしくね。」 そう言い放ち菜々子の横で営業スマイルを作って見せた。 「はいっ!勿論です!」 菜々子は完全に騙されしまった様だ。 …にしても聞き流せない今の言葉。 「子供で悪かったわねっ。アラサー(言ってやったわ。)」 「あぁ…お恥ずかしい。菜々子ちゃんの前でお嬢様であろうお人がこんな言い方。」 「もうっ、早く下行ってよ礼二!邪魔しないで。」 「菜々子ちゃん。また後程。」 バタン。
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