彼の内情

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礼二の煽りは勢いを増すばかりでもはや手に負えず私は言われるがままされるがまま状態でいた。そして再び指を腕に滑らせたかと思うと今度は裾の下に潜らせて腹部を指が滑っていく。 「さっきは腕…纏ってる物全部剥がしたらここも背中も確かめられるな。」 意地悪な礼二の指があったかくて優しくて腹が立つけど本心は嫌じゃ無くて。混乱しているそんな頭で何を思ったのか私は。 「良いよ。見せてあげる。」 パサッ…。 纏っていた物を床に放る。 礼二が怒りもせず笑いもせずに私をしっかりと見つめる。 多分その時の私はどうかしていたんだ。 私を見つめる礼二の右手を取り自分の左の膨らみにそっと当てる。 礼二の手がピクリと動くと私は小さく息がこぼれた。 そして顔に持ち上げて温い柔らかなその手を頬ずりし人差し指を甘噛みする。 するりと動いた礼二の指が口内へ侵入し舌の水気を自ら絡め取る。 「っ…。」 口内で自由に動き回る礼二の指に困惑していく私は既に頭は真っ白で自分の肌が露わになっている事など忘れてしまっていた。 礼二の指が口内から離れると礼二は私を抱きしめ唇を塞いだ。 十分に絡めていた舌が礼二の舌で更に深く交わると口元からつうっと雫が流れた。 そして名残惜しいかの様に唇を離すとそのまま私の首筋を軽く噛み鎖骨に唇を落とし印を付けた。    「ひゃっ。」 するといとも簡単に私をすくい上げ礼二の部屋へ連れて行かれた。 フワリと優しくベッドに寝かされるとシーツから礼二の香りが舞って僅かに残されていた理性を刺激する。 礼二が私に覆い被さり暫く見つめ合う。 貴方が護衛に就いた頃の私はまだ世間を知らない子供だった。 そんな子供がいつの間にか成人し社会人になり不器用ながらに恋もして愛を学んだ。 高嶺ホテルの娘として大事にされ貴方というボディーガードが居なかったら周りと同じ1人の女性。 そんな私が今こうして貴方の腕の中で抱かれようとしている。 意地悪で口も悪くて何時も私をからかってばかりな貴方のその目でこんなに成長した私を隅々まできちんと見てよ…。 そんな風に心の中の私が叫んでいた。 そしてそれは散々私をからかってきてばかりいた礼二に対して私からのこれ以上無い唯一の完璧な反抗だった。   ───────────。
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