君を想って

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「高嶺さん。また来てるわよ。例の彼。」 「え、あぁ、はい。」 「私これ運んどくから彼に挨拶して来たら?」 「は、はい…。すみません。」 礼二の事があって暫く会えないと言ったあの電話が最後で泰幸君とは大分ご無沙汰になってしまっていた。気を回してくれて堺さんが仕事を代わってくれたので私はササッと泰幸君のテーブルへ向かう。私が近付くなり顔の横で軽く手を上げて挨拶をしてくる泰幸君は何時もの泰幸君だった。私はとりあえずこれまでの礼二の状況などを説明し礼二から聞いてしまった彼女とのトラブルの話は一旦頭の隅にしまった。 「高嶺大丈夫なのか?いや、最近電話も飯も行って無かったからやっぱり心配でさ。ごめんいきなり来ちゃって。」 「ううん。大丈夫だよ。あ、それでね。礼二はあの後回復して退院が決まったんだ。」 「そっか。良かったな。これで一安心だな。」 「まぁね。」 「でも今回の話聞いてボディーガードなんて職業俺にはとてもじゃないけどむいてないなって思ったな。人の命を護るって事は自分の命を削るって事だもんな。」 「本当立派な職業だと思う私も。」 「ま、色々落ち着きそうだな。退院も決まったんなら。来週あたりまた誘って良いかな?」 「…う、うん。」 「分かった。また連絡入れるよ。じゃあ、フカヒレラーメン一つお願いします。」 「かしこまりました。」 泰幸君からの誘いに直ぐに返事が出来なかった自分の心の変化が怖かった。だけどその反面やはり礼二が教えてくれたあの話がどうしても引っ掛かり急ぐ結婚話に信憑性を感じられずにいたのだった。そんな礼二と言えば…。 「…ッン、フッ、ハッ。」 「礼二~。プリン買って来た…え?」 礼二の入院している病室は個室の部屋でベッドとシャワー、洗面台、トイレと全て揃っている部屋でフリースペースもある。順調な回復を見せている礼二は暇をもて余しトレーニングを始めていた。 「ちょっと、大丈夫なの?!傷口開いたりしない?」 「そこには力かからないように工夫してやってるから大丈夫だ。」 「てか、先生に見つかったら怒られるよ絶対に。」 「あはは。もうばれてる。」 「なっ、、じゃあ止めなよ。」 「看護師さんに先にばれて先生にチクったらしい。けど止めない。体鈍っちまう。」 「鈍っても退院してから沢山時間あるんだしその時やれば良いじゃない。まだ長井さん居てくれるし私には。」 「はぁ?お前泰幸の話聞いてたかよ。」 「聞いたよ。」 「あんな事実を知った以上それに関わった俺には責任と使命があんだよ。一刻も早く退院して任務に戻るぞ俺は。」 そう言った礼二はベッドの柵に掛けられたタオルを手に取り露わになっている上半身の汗を拭った。 はっ…。 細めのラインではありながら程良い肉質の引き締まった体。背中から腰にかけての曲線が美しく見とれてしまう。男性のこのラインは女性よりも遙かに美しいのではないかと思う私。腹部のガーゼが痛々しいが礼二にはまたそれも全て完成された男性美に見えた。 口を少し開け美しい礼二に見とれていると汗を拭き終わった礼二が私に。 「ジロジロ見るな。」 「見て、、見てません。」 すると礼二が目の前に近寄って来た。
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