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――――つまらないつまらないつまらない!
かつん、と足にぶつかった小石を蹴りながら、星見しおりは歩いていた。いつもと同じ通学路だというのに、家に帰るための足はどんどんと重くなっていた。
コロナという感染症が流行し、世界を騒がせている。その騒ぎは、しおりの住む地域にも影響していて、色々な活動が制限されてきた。
中々感染者数が減らない現状をどうにかするために、打ち出された対策の1つとして分散登校が行われることとなった。 しおりの通う小学校も、クラス内でグループを分け、児童の登校を分けることにしたのである。
――――マスクは苦しいし、音楽の時間に歌うのも大変。
――――給食だって静かに食べなきゃダメで……
――――でも、一番ヤなことは、みーちゃんに会えないこと。
――――みーちゃんにしばらく会えないなんて、ヤダ。
ぎゅっ、と背負ったランドセルのヒモを握りしめ、しおりはうつむきながら歩く。
仲良しの友達“みーちゃん”と今回の分散登校で、別々のグループになってしまったことに、しおりはショックを受けていた。
いくらオンライン授業があるとしても、分散登校中は教室で会うことができない。
しおりと“みーちゃん”の住んでいる地区は西と東という逆方向にあり、そもそも学校以外の場所では中々会うことが難しいのである。
――――ヤダなぁ。イヤだな……つまらない。
しおりが何を思っても、分散登校は行われ、しばらく友達に会うこともできない。
うつむいたまま、いやな気持ちを抱えたまま。のろのろと歩いていると、何かが落ちていることに気が付いた。
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