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5-10*
「――あ……!」
長い指が根元まで入ったところで腹の内側を擦られ、喘ぐ声がひとつ転がり落ちる。
「すごい……中締まったの分かる? ここ気持ちいい?」
「あ、んぅっ、あ、あ……あぁ……っ!」
性感を探るように動いていた指先が、快感を教え込むような動きに変わっていった。内壁のほんの少し膨らんだ一点を的確に挟み込んで、何度も優しく引っ掻いては揺さぶられ、あられもない音が喉奥から間断なく漏れてしまう。
「あー……やばい。想像の五〇〇倍えろいなぁ……たまんない」
「ふあ……っ、ば、ばかっ!」
「あ、耳弱いんだ? かわいい……はは、気ぃ狂いそう。……ん」
「ひっ、やだ、や、あぁっ、はぁ……っ!」
どろりと甘い声を直接耳に流し込まれて、気が狂いそうなのは凌のほうだった。
いつもより低い声が、少し掠れた吐息が、落とされるキスの音が明瞭に鼓膜を震わせる。
そのたび、いつの間にか三本に増えた嘉貴の指を嬉しそうに締め付ける内壁があやすように撫でられて、込み上げてくる快楽に頭のてっぺんから足の先まで溺れていく。
――もう限界だ。
「も……、いい……っ」
「ん? ……っ、りょう」
嘉貴が小さく息を詰めた。彼の昂ぶる熱は、凌が触れただけでその硬度を増した気がする。
「い、いれて……はやく……じゃないとまた、ひとりでイっちゃう……」
一方的に愛されたいわけではない。一緒に愛し合いたかった。
もっと近くで、深いところで嘉貴を感じたい。潤む瞳で訴えた相手は何かに耐えるように眉根を顰めた後、「はぁ」と悩ましげな息を吐いた。
「凌がかわいすぎてイくかと思った……」
「そしたら手とか口で勃たせてやる……っふ、ぅ」
「ふふ、それ最高だね。秒で元気になる。でも……今日は大丈夫」
凌の中からゆっくりと指を引き抜き眉を下げて笑うその姿に、限界だったのは自分だけではなかったのだと気づく。
広げた脚を抱え、素早くゴムをつけた昂ぶりを十分に解された場所に押し当てられた。
「息ちゃんとしてね……」
「あっ、あ……っ」
「そう、じょうず……ほら、全部挿った」
下生えが臀部に触れるくらい奥深くまで繋がって、嘉貴はその動きを止める。
「痛くない? ちょっとこのまま馴らそうな?」
他人の熱が腹の奥で脈打つ緊張と疼痛、そしてその奥にある官能。初めて知る感覚に身体を震わせる凌のあらゆるところに優しく口づけを落として柔く微笑む嘉貴に、ぐぅ、と喉の奥が詰まるのが分かった。
「は……っ、んぅっ……、よ、しき……」
「うん? 痛い?」
「……よしき……」
一番大事な人の名前を紡げば、涙が眦からこぼれ落ちた。
バカだな。自分だって苦しいだろ、こんだけきつく締め付けてしまってるんだから。ちょっと眉寄っちゃってるじゃん。堪えてるのバレバレだからな。我慢なんかしないで、もっと激しく抱いてくれたっていいのに。
そう思う凌をよそに、決して無理には動こうとせず、凌を安心させるように笑みを浮かべる目の前の男に、嫌でも理解してしまう――自分がどれだけ大事にされているか。愛されているか。
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