ニャオニャオマン

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 僕の周りの人間だけかもしれないが、猫好きの人間は決まって会話が成立しない。  僕が、おはようと声を掛けると猫好きは、 「ニャニャニャウ」と返す。  僕が、こんにちはと声を掛けると猫好きは、 「ニャニャニャチニャ」と返す。  僕が、こんばんはと声を掛けると猫好きは、 「ニャニャニャンニャ」と返す。  そう、猫好きは、猫語と呼ばれる意味の分からない言葉を話すのだ。  挨拶程度の言葉は、何度も耳にしているから何となく理解できるようになった。しかし、それ以外は全く理解できない。ほとんど、「ニャ」と「ニャン」だから。 「なあ、今日どこで遊ぶ?」 「ニャーニャニャンニャーニャンニャ、ニャニャニャ?」 「そろそろ昼か。昼飯どこで食べる?」 「ニャニャニニャニャニャニャイニャニャ、ニャーニャンニャ、ニャ」  どうです? 分かりました?  ちなみに、今のを翻訳すると、 「ゲームセンターなんて、どうだ?」 「安く済ませたいから、牛丼が、いい」  もし、分かったのならあなたも、猫好きってことでしょう。猫好きは猫好きの言葉が分かるらしい。 周波数が同じなのか知らんが、会話が成立する。  僕の友人中島と友人森野、猫好き2人の会話がこれだ。 「ニャニャニャニャ、ニャニャニャニャニャウ、ニャニャ?」 「ニャニャニャニャウ〜?」 「ニャニャニャニャ、ニャウ」 「ニャニャ、ニャ?」 「ニャニャニャーー ニャニャニ ニャニャ」 「ニャニャニ ニャニャニャー! ニャニャニーニャンニャー」 「ニャニャニ、ニャニャニャニニー ニャニニニ、ニャニャ」 「ニャニャウ ニャニャウ〜!」  何を話しているかはさっぱり分からないが、盛り上がっているのは分かる。猫の話か、ゲームの話か、電動ドライバーの話か知らんが、普通の言葉で話せ、普通の言葉で。   悪いのは、こいつらだというのに、中島、森野、僕の3人で遊ぶと、猫が好きではない僕が、悪者のように扱われる。  僕だって、猫が嫌いなわけではない。小さい頃白い猫を飼っていたこともあるし、猫動画を見て癒やされることもある。本当、どちらかといえば犬派なだけで、猫のことは嫌いではない。  ただ、僕の友人のようなニャオニャオマンのせいで、猫好きの人間が嫌いになってきている。  中学の頃からずっと好きだった、佐々木さんもそうだ。可愛くて優しくて努力化な一面に惹かれていたけど、彼女がニャオニャオウーマンだと知って冷めた。 「佐々木さん、心理学の山田先生が探してたよ」 「ニャ? ニャニャニャニャンニャーニャ?」 「ニャニャッニャ、ニャニャニャニャウ!」  佐々木さんは、昔はこんな子じゃなかった。   「佐々木さん、バレー部の川崎先生が探してたよ」 「え? 佐々木先生が?」 「分かった、 ありがとニャン!」  語尾にニャン付けるくらいだった。  語尾にニャンを付けるくらいなら許せる。 そんなの可愛いもん。余裕で許せるけれど…… 全単語ニャンニャオ言われたら、それはもう、怒りしか生まれない。  一体僕は、どうしたらいいんでしょう?  犬派の僕が、猫派の人たちとまともに会話することはできないんでしょうか?  中島も森野もめちゃくちゃいいやつなんです。いいやつだから、これからもずっと、友だちでいたいです。 「ワワワン! ワワワ ワワワンワワワッワワ、ワワワワワワワン」 「ワンワンワ、ワワッワワワ。ワワワ、ワワワワワワワン」             
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