7.店の「コンセプト」

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7.店の「コンセプト」

 光太と零はしばらく悩んでいた。それはお店のコンセプトをどうするかという問題に直面したからだ。  そもそも、あまり公にはできない秘密を抱えているから難しいのだが、あえてそこを打ち出したほうが興味を引けるのではないかとも考えた。  「幽霊と作るゴーストレストランってよくない?ちょっと不気味かなあ…?」  零は真剣な表情だ。  「胡散臭い気もするけど、、でも面白いかもよ!今までにない感じで。あまりストレートに言いすぎなければいい気がする。」  光太もそこそこ乗り気だ。  「じゃあこういうのはどうだろう。」零はA4用紙の裏紙にマジックで書き始めた。  "洋食亭ゴースト"  書き終えた零は「どうよ?」と言わんばかりのどや顔だ。  「うん、いいんじゃないかな。ストレートすぎず、かといって匂わすような感じもある。」  光太も納得した。恐らく自分では付けないネーミングだが、幽霊である零と一緒に作り上げるという意味が込められている気がして、とてもしっくりきた。  洋食亭ゴーストのメニューは、その名の通り洋食が中心だ。二人で運営するため、そこまで多くのメニューを扱うことはできないと考え、自慢のメニューで勝負することにした。  「自家製ハンバーグ~季節の野菜のせ~」  「きのこたっぷりクリームパスタ」  「ハンドドリップコーヒー」  この3つのメニューに絞った二人は、早速オープン準備に取りかかった。食材は近所のスーパーで仕入れることにして、資材はインターネットで注文した。食材、資材のオープン準備で三万円ほどかかったが、光太の今まで使わなかった分のお小遣いが充てられた。  ゴーストレストラン形式の運営のため、実店舗は持たない、いわゆるデリバリーのみの営業スタイルだ。光太も零も料理をやりたいという気持ちは譲れないため、一日交代で料理と配達を担当することにした。
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