それぞれの幸せ

その3

　はにかむように笑い、服を脱ごうとする晴輝。その手を押しとどめて、俺の手でシャツのボタンを外していく。そうしてる間の恥ずかしそうな、でも待ちきれないような晴輝の表情を見るのが好きだ。自分だけ裸っていうのも、晴輝の欲情を煽るらしいのを俺は知っている。
　シャツの前をはだけると、両手で押し上げるようにして一気にインナーのTシャツを胸までまくり上げた。その時に手が胸の突起に触れて、晴輝が甘い声を漏らす。
　俺がまだ服を脱いでないことを、しっかり抱きしめて晴輝に感じさせる。唾液がしたたるほど唇を奪いあいながら、ジーンズの前をはだけてトランクスの中に手を入れた。晴輝の腕が、しなやかに俺の首に絡む。
　晴輝が俺の首にしがみついたまま、自身を包む俺の手に媚びるように身をくねらせるのが、もっともっととねだっているようでエロい。素肌で服の感触を味わいたいのもあるのかも知れない。
「あ、あっ……」
　胸の突起を左手でいじる。右手の中の熱が、ますます膨張する。くちゅっ、と音がして、先端が濡れてきた。そのぬめりを利用して、晴輝のモノを包んだ手を大きく上下に動かす。
「分かる？　中途半端に服脱いでるカッコ、すげえエロいよ」
　ぎゅっ、とさらに晴輝の腕に力がこもる。乱れた吐息。前をはだけただけのシャツ、シャツの下で胸までまくり上げられたTシャツ。太ももあたりまでトランクスごと下げられたジーンズ。犯してるような、背徳感。ぞくぞくする。
「うん、めっちゃ気持ちいい……」
　上気した頬で吐息混じりに言うのが、色っぽくてかわいくてそそられる。晴輝は恍惚とした顔で、またキスを求めてきた。長く濃厚なキス。晴輝をじらしたくて、俺は服を脱いじまいたいのを我慢して、その首筋に舌を這わせた。
「んっ……、あ、ダメ、イっちゃう……！」
「どうしちゃったの、すげえ感じてるね」
　右手の動きを激しくして晴輝を追いつめながら、耳もとでささやく。舌で耳をなぶる。服が汚れないように先端を包んで動かすと、びくりと大きく身体を波打たせ、俺の首にしがみついたまま晴輝は果てた。