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「悔しいって、なんだよ」
思わず笑う俺にも答えず、思いっきり俺を頬張る。うっとりしているようにも見える頬に俺の形が浮かび上がる。ヤバイ、これは本気だ。
「あ、あのさ、精液まずいぞ?」
いよいよ切羽詰まってきて、あわてた声が出た。
「今さらなに言ってんの」
はち切れそうな先端に、晴輝は愛しそうにキスした。大事そうに添えた両手で根元を刺激すると同時に、先端をくわえる。次の瞬間頭が真っ白になって、俺は達してしまった。
「感じてくれてうれしいのは、俺も同じだよ」
俺が吐き出したものを、晴輝は飲んじまった。やっぱまずいね、と笑う口の端に白いもの。頭がくらくらしそうにエロい。
俺が初めての相手だった晴輝を、こんなふうにしたのは当然ながら俺で。目が見えない晴輝は、ダイレクトに俺の反応が分かるフェラを好んでするようになった。セックスは究極のコミュニケーションとか言うけど、晴輝にとってはなおさらそうらしい。
子供を膝に抱くように、小柄な身体を後ろから抱きしめると、ごく自然に俺の胸に背中を預けてくる。俺の脚のたくましさを味わうように撫でて、満足そうなため息。
ふと時計を見ると、もうとっくに日付は変わっていた。俺はティッシュに手を伸ばし、何枚か引き出して晴輝の手を拭いてやる。
「ありがと。今日はもう寝る?」
甘い声は、眠くなったようで輪郭がぼやけている。たぶんお互い、まだ行けるだろうけど今日はもう寝た方がいい。
「うん、シャワー浴びようか」
俺は晴輝の手を引いてベッドを出ると、風呂場まで誘導した。ドアを閉めてシャワーの温度を手で確かめ、晴輝に浴びせる。俺も晴輝の後ろに立って、自分の身体を洗い流した。一瞬、後ろから抱きしめてキスしたくなったけど、我慢する。
「なんか今日、すげえ気持ちよかった」
シャワーを浴びた後、俺が頭にかぶせてやったバスタオルの下で、無邪気に笑う晴輝。
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