その3

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「俺もだよ。ほら、風邪引くから拭いて」  俺は晴輝の濡れた髪をわしわしと拭いた。もちろん、目が見えなくたって晴輝は自分のことは一通りできるけど、俺といると甘えたがりの子供みたいになる。 「たまに、こういうのもいいかな」  とか言いつつ、本当は入れて欲しかったんじゃないかと思ったけど、気づかないふりをした。これ以上晴輝がやらしくなっちまったら、いろんな意味で俺の身が保たない。今から寝ればまだたっぷり寝れるから、晴輝と二人ゆっくり寝たい。  俺はまた晴輝を誘導して寝室に戻り、置きっぱにしているジャージに着替えた。スマホのアラームも忘れずにセットする。晴輝と一緒にベッドに入り、リモコンで電気を消して腕枕すると、晴輝はしっかり俺に抱きついてきた。 「今はまだ、一緒に住めないとか思ってるでしょ?」  甘い声で、いきなり言う。不意を突かれて、俺はなにも言えなくなる。 「分かるよ、だから泊まれそうなタイミングは逃したくないんだ」  その、いつ捨てられるか分からない、って思ってそうな考えはどこから来るんだ? 俺はまず、腹が立った。  晴輝はまだ俺との関係に不安を感じてるのか? こんな、入れてないけど満たしあえるセックスの後なのに? それとも、お互い満たされてると思ってるのは俺だけなのか?  満たされていた心に、いきなり浴びせられる冷水。血の気までもが、すうっと引いていくような気がした。 「俺のこと、信じてくれてないの?」  自分でもびっくりするような、とがった声が出た。泣きそうな顔で身体を起こす晴輝。 「違う、違うんだ。俺、幸せで……」
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