その2

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「なんか、静也と隆宣って似てるよな」 「は? どこが?」  隆宣さんと俺が似てる? 見えない晴輝の場合、たぶん性格のことを言ってるんだろうけど。 「世話焼きで細かく心配するところとか」  そう言いながらも、まんざらでもなさそうに笑う。そんな晴輝の肩越しに、もう目的の駅の近くに着いたのが見えた。 「そりゃ、俺は半分仕事だから」  仕事でもプライベートでも、俺は晴輝をサポートしていく。それは当然のことだ。晴輝が思いきり、その才能を発揮できるように。 「将来的には、大石さんは俺のこと静也に任せたいみたいだもんね。頼りにしてるよ」  まぶしい笑顔。俺にそんな仕事ができるようになるのか、なんて弱気なことは言えなくて、ぐっと拳を握る。  タクシーが止まり、俺は金を払うと荷物を手に先に降りて、晴輝がタクシーを降りる時に頭をぶつけないようにした。白杖を伸ばし、足元を確かめながらタクシーを降りる晴輝。 「やあ、いらっしゃい」  タクシーに乗る前にLINEしておいたから、約束通り駅前のタクシー乗り場に翔一郎さんが迎えに来てくれていた。ひょろっとした身体を黒でまとめたファッションで包み、にこにこ笑っている。 「今日はお邪魔します」 「久しぶり。こっちだよ」  晴輝を挟むようにして、三人で歩く。ミュージシャンや芸能人もたくさん住んでると言われてる街。初めて来たけど、古着屋やら中古レコード屋と、昔からありそうな八百屋とか飲み屋が共存していて、この街ならではの雑多な感じだ。 「ハルは餃子、作ったことある?」  唐突に晴輝の顔をのぞきこむようにして、翔一郎さんが訊く。 「ないけど、もしかして今日餃子?」  晴輝がうれしそうに言うと、翔一郎さんが穏やかな笑みでうなずいた。この二人を見てると、二人とも柔らかい雰囲気だからなんだかこっちまでほんわかしてくる。 「うん、二人にも包むの手伝ってもらうから」 「わ、やるやる! 絶対楽しいヤツじゃん」  はしゃぐ晴輝。笑みを深める翔一郎さん。晴輝は隆宣さんと俺が似てるって言ったけど、俺は晴輝と翔一郎さんは似てると前から思ってる。冬の太陽のように周りを温かくする、存在感。芯が強くて、なにか過去にかなりつらいことがあったからこそ、他人に優しく生きている。
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