拾われた猫と拾ったお兄さん

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何か、お兄さんに声かけられた。 顔上げて、何に対しての大丈夫なんだろうって少し考えて。 「どうなんだろう?」 質問を質問で返してしまった。一瞬沈黙して、お兄さんは突然笑い出して。そんなに変な事言ったかな、って困ってたら、目線を合わせるようにしゃがんで。 「ごめん、聞き方が悪かった。こんな所で何してるの?具合でも悪いの?大丈夫?って意味だったんだけど。」 「そういう意味か!元気だから大丈夫だと思う!家と仕事見つかればなんとかなるから!」 「……家と仕事?お前、ホームレスなの?」 「え、そうなのかな?……ホームレスなのかな!?家追い出されて住む所も仕事もお金も無くて、明日からどうしよっかなーって、考えてた!」 全然知らない人だから、別に言った所で何かあるわけじゃないし、って思った。逆だよね、普通逆だよね、だからお姉ちゃんはいつも、ハルは正直すぎるし人を信用しすぎるから、もっと警戒心持ちなさいって言ってたんだ。 でも、この人は予想外の言葉を発した。 「行くとこないなら、俺の仕事のバイトしない?住む所も俺の家空いてる部屋あるから使っていいし。かなり激務だけど時給1500円家賃無し。衣食住の面倒も見る。どう?」 即答で、やるって言った。拾う神ありだと思った。 やるって言ったらお兄さんはまた笑った。
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