クネクネお父さん

クネっとしながら、醤油を取ってくれるお父さん。

「お父さん！　普通に取って！」
あたしは、いつものことだが、文句を言う。

お父さんは、いつもと同じ返事をする。
「だってえ～、お父さん、ヤザワなんだも～ん。ヨロシク」

あたしの家の名前は、山田で、決して、ヤザワではない。

「お父さん！　いい加減、現実を見て！　お父さんは、決して、矢沢永吉には、なれないのよ！」

「だって～、お父さん、ロックシンガーなんだもん。ヨロシク」

そうなのだ。
うちのお父さんは、いつまでも夢見るロックシンガーなのだ。