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3作品目 アルテミシアサーガ 鍵者と禁忌の魔道士
ジャンル:FANTASY
メモ:ギャグの勉強のため練習用に書き始めたもの。
ストーリー:
この世はまだ平和を知らない。
魔神ヴァイロンの復活を恐れる者はみな安堵を知らないのだ。
騎士達は日々、生死を繰り返している。
いや、死んだ者は生き返らないか。生きている者のみ戦いは続く。死ぬまでかあるいはヴァイロンの存在が消えるまでか。
奴は自らの憎悪を大地に根を張らせ魔物を生みだして人々の恐怖に食らいつく。
どうやってこの有象無象共を成敗して戦いを終わらせるか。
答えはいたって簡単なことだ。
この俺、リュアレ・Ⅴ・マーキスが騎士団を牽きヴァイロンの野望を打ち砕く。
そのため騎士団を立ち上げるべく王都に向かっているところだった。
…再度決意するも現状はちょっと問題が発生している。
月明りが差し込む納屋の藁に寝そべる俺氏。
寒気に体を縮ませる。
なぜ納屋で寒がりながら寝ているかって?
路銀を掏られてしまった事は計算外だった。
今頃は王都に着いて騎士団を設立してわいわいやっていたところだった。
わいわいとは語弊があるか。
王都の隣村で立ち往生している所、民家の納屋に泊めてもらえることになった。
こんな寒い夜に外で寝たら間違いなく死んでしまう。
これもヴァイロンの仕業と言われている。
奴の禍々しい殺意が夜になると月の魔力で増強され地面からひしひし冷気を帯びるのだとか。
まったく余計なことをする。
明日には路銀を取り返して王都に向かう。
路銀だけではない。俺には託されたものがいくつもある。
絶対に失うわけにはいかない。
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一枚の銀貨
***********
朝になると冷気は徐々に無くなり、お日様の明かりであたたくなる。
当然っちゃ当然のことだがそれが人にとって数ある幸せの一つになっていると
言ってもいい。
納屋の主人は朝早くから出かけているのか礼を言おうと民家に出向いたが、留守のようだったので仕方なく村の中を散策することにした。もしかしたら路銀を盗んだ盗賊がまだ
村の中に潜んでる可能性もある。
村とはいえ朝の広場はがやがやとにぎわっている。
俺氏もにぎわいと同化し飲食店や道具やを見て回っていた。
(はっ…俺、金持ってないじゃん)
肩を落として目の前の《釜揚げ屋台》の旨そうな香りを味わっていた。
隣では釜揚げ麺をずずずっと啜って美味しそうに食べてる輩がちらほらといる。
こうなったらもう香りと音だけ聞いて食べてる気分になるしかない。…しかし当たり前だがおなかが満たされることはなかった。
「キっモ」
不意を突かれたその言葉に衝撃を受け、恥ずかしさと今すぐ消えたいという衝動に駆られた。
確かにはたから見たら気持ち悪い上に意味のないことをしている貧乏人だ。
”大人になったらもうやらない”と決めてたのについつい昔の癖が出てしまった。
「ホント汚い店ばかりね!父上の言ってた通りだわ」
どうやら俺氏のことを言っていたのではなく、村の愚痴を言ってい…
「あと、お金を払わないで料理の香りと音で満足しているそこの変態盗人も不愉快だわ」
やっぱり俺氏もなのね。そんな大きな声で辱めないでくれ。
皆が注目してるじゃないか。
「そして何このぼったくりの値段…!ねぇおじさん、薬草の値段もうちょっとまけてくれない?」
「最近〈王威〉周辺でも、薬草があまり取れなくて高騰してるんだ。悪いな嬢ちゃんまけられねえよ」
彼女は踵を返して俺の方に向かってくる。
「ねえあなた。金物をよこしなさい」
いきなりカツアゲですか?何様ですか?今の醜態をさらして何言ってるんですかこの娘は?その手はなんですか?手つきがもうテクニシャンですよ?
「金があったらそこの店で注文してるよ。だから君の要望には応えられない」
「うっさいな、そんなこと見れば分かるわよ貧乏ド変態盗人。」
これはもはや新手の公開処刑です。母さん父さんごめんなさい俺のライフは残り1です。
俺の人生もここまでのようです。
「あなたのその首にぶらさげてる銀の鍵みたいなのよこしなさいって言ってんの!愚民ド変態盗人、それを交換してくれればそこの屋台でスープくらいなら出してもらえるんじゃないかしら。ねえ?生きる価値のないものに必要なアクセサリーってあると思う?魔族の金品みたいに剥ぎ取られるのがオチだと思うの」
また名称が変わっている。ふざけた初見殺しの娘だな。
生きる価値がないって?ふっ…もう俺のライフは0だぜ。
味噌っかすも残っちゃいねぇ。
それでも言い返さないとと思い、周囲を見ると(がんばれ兄ちゃん)と言わんばかりの皆の視線があり、ふとある名案を思い付く。
「いーやーだーね!生きる価値がない?俺のこと言ってんのか?ふっ…俺はのちに騎士になり魔神ヴァイロンを完全にこの世から消滅する男だぞ?それにこの鍵は封殺するのに必要な物で国一つ買えるほどのお宝だぞ。スープ一杯の価値などに値するか!」
「魔神ヴァイロンを?あなたが?腰に付けてる木刀と、その鍵で?ぷっ、あはははは!笑わせないでよ中二病ド変態!」
盗人はどこへいった?そんな疑問はどうでもよく中二病とはなんだと突っ込みたくなったが娘は話を続けた。
「この私、ウィンリア・バームヘス トの前でよくもそんな大法螺吹けるわね!」
誰?と言いかけキョトンとする俺に娘は不機嫌な様子だった。
当たり前だ、俺はこの周辺の人間ではない。
ずっと東の地方から来たのだから。
しかし周囲の反応は違った。あるものは膝を地面に着き、またあるものは両手を合わせて拝みだす始末。
あ、一泊させてくてた主人もその場で「ははー」と言いながら頭を地面に付けている。
「なに?私の功績あなた知らないの?所詮はド田舎ド変態盗人ね!私はこの地を魔物から守ってる防衛騎士であり禁忌魔法の使い手なのよ」
「なのよ。じゃねーよ。怖いことさらっと今いいませんでしたか?おい、傲慢ぺちゃぱい魔導士。禁忌だろうが18禁だろうが知るか。俺はお前に決闘を申し込む!」
「ねーお母さん、18禁ってなぁに?」と子供が不思議そうにしているが母親は子に「き、貴金属のことよ。あは、ははは」なんて教えてるものだからそれは24金だと突っ込みたくなった。いや、まてよ?18金もあるか……
「…だれがぺちゃぱい魔導士よ!騎士を愚弄することは許されないわ。よくて死刑、悪くて処刑よ!決闘?ふん!一撃で微塵粉にしてやるわ!」
効果覿面だったか。食いついてきた。魔導士特有のオーラが体を纏う。
「まぁそう急ぐなぺちゃぱい。俺は逃げも隠れもしない。出来れば場所を変えたい、村の人には迷惑は掛けたくないからな。それに騎士が人前で魔法を執行すると厳罰を受けるんじゃなかったか?ましてや禁忌魔法だ。お前の刑罰もどうなることやら」
「…分かったわ。」
きりっとした目には殺意が籠っていた。
数名の村人が近寄ってきた。
中には世話になった主人もいた。
「やめておけ若造。命が惜しくないのか?禁忌とかいうあれは本当にやばい。昔別の騎士様が禁忌魔法を使って助けてもらったことがあるんだが、”あれ”を食らって”存在した奴なんていない”今すぐ謝ったほうがいい。まだ間に合うんじゃないか?」
ウィンリア・バームヘストとゆう言葉に皆がひれ伏すのを見て、ただ者ではないのは確信した。だからと言って脅えることはなかった。なぜならここで人間に屈していたら、魔物と対峙することは出来ないと思っているから。
「なあリュアレ坊。お前、俺に言っただろ?騎士になるまで絶対に死なないって、ここで死ぬわけにいかないんだって、今は我慢して耐えろや…なぁ見え張ってる場合じゃないぞ」
そんなこと言ったっけ。その言い方だと騎士になったら死んでもいいみたいじゃないか。
「おっちゃん達、心配してくれるのか…大丈夫。俺はまだ死ぬ気はないし負ける気もない。なにせ俺はこの秘宝と言われる鍵を所持している。これで魔神を再び封殺する男だ。それと…一晩泊めてくれありがとなおっちゃん。世話になった」
いうことは言った。これですべてシナリオ通り。
見送ってくれ人たちに振り返らずに淡々と森へと向かう俺氏。
「だめだなありゃ」
「中二病者お陀仏」
あとから村人がそんなことをつぶやいていたなんてのは気付かないでいた。
などなど
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