市街戦

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 アテナは、クリスに指示されたシートに座った。すわり心地の悪い、硬いシートだった。隣にクリスが座り、正面に筒状の武器を抱え込んだ男性が2人。ひとりは荷台に引き上げてくれた兵隊だ。アテナには、2人とも自分より若いように感じた。 「ミハイルだ」 「俺はブロス」  彼らが出発前の緊張をぎこちない笑みで覆った。 「アテナです。よろしく」 『行くぞ』  イヤフォンからカールの声がする。 「了解、後ろは大丈夫」  ミハイルが答えるとトラックが動き出す。アテナは後続のトラックに眼をやった。わずかな距離を取って、それも動き出した。 「これはフチン製の自動小銃。使いやすく壊れにくいのが特徴ね」  アテナの隣に掛けたクリスが安全装置の操作や撃ち方、弾倉の脱着方法などを説明した。すべてを話すのに5分も要しなかった。 「使わなくて済むといいな」  ブロスが言った。 「そっちは?」  アテナはブロスが抱えている筒状の武器を指した。 「スティンガー、隣国から提供された携帯式のミサイルランチャーだ。なかなかの性能らしい。俺たちを襲ってくるとしたらヘリかドローンだからな。その時はこれで撃ち落とす」  ブロスの返事はとても心強いものだった。
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