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――ドーン……、小さな爆発音がする。
『見つかったぞ。4時方向にヘリ!』
誰のものかわからない興奮気味な声がした。
『戦闘用意』
カールの冷静な声がすると、ミハイルとブロスがミサイルランチャーを握りなおした。
アテナは後の開口部から空を見たが、ヘリコプターは見えなかった。後続のトラックが距離を取って蛇行している。
「任せろ」
ミハイルがシートの下から木箱を引っ張り出して通路に置き、上部の天蓋部分をスライドさせて箱に乗る。木箱が動かないようにブロスが支えた。
「落としてよ」
クリスが祈るように両手を合わせた。
上半身をトラックの上部から出したミハイルが、ミサイルランチャーを構える。
「落ちやがれ」
彼は叫んだが、その声をアテナが聞くことはなかった。
――ドシュ……、と鈍い発射を残してミサイルが飛んでいく。アテナは、その光跡を一瞬だけ見ることができた。
『ヒュー、撃破。よくやった!』
カールの歓声にも近い声がした。
箱から降りたミハイルが親指を立てて笑った。
『5時方向に1機』
別の声がする。
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