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教会がざわついたのはSNSにドミトリー大統領の演説が公開された時だった。彼は、その日の朝、ユウケイ民主国の3方向を取り囲んだフチン共和国軍から攻撃を受けた。国防軍は全力で応戦、敵の侵攻を押しとどめているが137名の国民の命が奪われた、と沈痛な面持ちで正直に語り、言葉を続けた。
「……国民もまた強力な軍隊だ。国防軍は支援を必要としており、軍との連帯は国家の柱です。国民への武器提供を始めました。国家の未来は全ての国民の肩にかかっている。戦闘経験があり、国の防衛に関われる人は来なくてはいけない。今がその時なのだ。私は敵をくじくまで、セントバーグを離れない。国防軍と、そして国民と共に、最後の最後まで戦うだろう」
大統領は、強い眼差しを国民ひとりひとりに向けているように見えた。
「俺は行く!」「俺も」「私も」
若者ばかりか、老人や女性までも興奮した面持ちで声を上げ、あるいは立ち上がり、拳を握った。
「勇敢な神の子たちに、神のご加護を」
神父は静かに祈った。
あの人は生きて帰ってくるだろうか?……その時アテナは、夫の顔や名前が思い出せなかった。
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