ああ神様、こんな卒業はやめてください!

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 *** 「これは由々しき事態なんだぞ!」  アメリカのリーダーが、机を叩いて立ち上がった。 「このまま彼を卒業させてはいけない。そんなことになったら、全人類が滅亡しちゃうよ!とにかく、みんなでなんとかして、彼を引き留める方法を考えなくちゃいけない!」 「それには激しく同意するんだけども」  ため息交じりに、手を挙げたのは中国のリーダーである。 「日本さんは何をしていたのかな?彼、と一番たくさんお話できるのは貴方ではなかったのかな?だって、日本さんは付喪神の国じゃないか、そういう存在との意思疎通は最も得意なんじゃないのかな?」 「こういう時だけしれっと私に責任を丸投げしないでくださいよ!常任理事国でもないのに!」  話を振られた日本のリーダーは既に泣きそうな気持ちでいっぱいである。  確かに、何故だか日本ってそういう神秘的な国だと思われがちだ。やれ妖怪がいっぱいいるとか、付喪神だとか、それこそ何でも擬人化して萌えキャラにしちゃうあたりだとか。おかげさまで、日本人そのものが“真面目で不思議ちゃん”キャラにされがちである。非常にげせぬ。 「確かに“彼”とはお話していましたけれど、私が他の皆さんの許可なくいろいろ交渉を勧められるわけがないじゃないですか!特にアメリカさんとかアメリカさんとかアメリカさんとか!」  あと、自分のところの不思議文化の由来の大半は中国さんじゃないですかね、と心の底から言いたい。めっちゃ言いたい。言ったところで“私は知らないかなー”と口笛吹いて明後日向かれるのが分かっているので意味がないけれども。 「というか、彼が怒った原因の多くって多分中国さんにもすっごくあ」 「うん?何かな?」 「何でもないです!」  そしてこんな調子。日本人、自己主張デキナイ。 「誰の責任かなんてぐだぐだやってる場合かよ」  呆れ果てたように口を挟むのはイングランドのリーダーである。 「そんなものは、事態が解決した後で相談すればいいだけのことだろうが。とにかく今は、世界で協力して“彼”のご機嫌取りしなくちゃいけねーことだろうが。その方法をみんなで考えろ。でもって、誰か一人だけ負担が大きいなんて状況にならなくちゃいけねえ。正直、世界中の全員に責任があると言っても過言じゃねえーんだからな」 「どうでもいいけどなんでお前が俺らのリーダーみたいな風に喋ってるんだ、俺は認めない」 「スコットランドはちょっと黙っててくれ、マジで話が進まない!ていうか会議に呼んでない!」
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