プロローグ

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プロローグ

  小さい頃から、苦労をしてきた。 電車の吊革に手が届かない。 黒板の文字を上まで消せない。 自分の体のサイズに合う服や靴を見つけられない。 日々の生活の中で、他の人が容易くできることを、身長140㎝の私はできない。 この社会は、人によってはちょっと、いや、だいぶ冷たい。 そんな冷たさに耐えながら、私は生きていく―。 そんな冷たさが、ある日すーっとなくなっていったきっかけは、あの人―。 自分を、子供扱いせず、きちんと、一人の女性として見てくれるあの人に、私は心惹かれた。 でも、あの人に私は釣り合う?  何もかもさらけ出せる? そう思いながらも、この気持ちは消えていくどころか、逆に強くなっていく。 お願い、私に"ぜんぶ"を、教えて下さい―。
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